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建設業の経営分析
企業の財務上の安全性は、資金の流動性と資本構造の健全性によって測定されます。
健全性とは、資本の調達と運用における財務バランスがとれているかをいいます。
資本の調達面においては、自己資本と他人資本とのバランスを分析する資本構造分析、資本の運用面においては、固定資産と長期的な調達資本とのバランスを分析する投資構造分析、さらに、利益分配の程度を分析する利益分配性向分析により健全性を分析していきます。
ここでは、企業財務の健全性に関する分析手法について解説してまいります。
資本構造分析とは、自己資本と他人資本のバランスを分析するもので、自己資本比率、負債比率、固定負債比率、営業キャッシュ・フロー対負債比率、借入金依存度、借金自己資本比率、有利子負債月商倍率、金利負担能力により分析します。
自己資本比率は、下記の算式により計算します。
自己資本比率=自己資本÷総資本×100
自己資本比率とは、総資本に占める自己資本の比率をあらわす指標になります。
自己資本は、株主から払い込まれた資本金および資本剰余金と、過去から内部留保された利益の累積である利益剰余金により構成されます。
そのため、自己資本比率が高いほど過去からの業績がよかったことと同時に、借入金の依存度が低く支払能力が高いことをあらわします。
建設業においては、流動資産、特に未成工事支出金などの工事関連費用の占める割合が多いことから、自己資本比率は低めになる傾向にあります。
建設業情報管理センターのデータによると、平成26年度における建設業全体の自己資本比率は23.26%となっております。
負債比率は、下記の算式により計算します。
負債比率=(流動負債+固定負債)÷自己資本×100
負債比率とは、負債総額とそれを担保する自己資本との比率を測ることで、長期的な財務の安全性をあわらす指標になります。
負債比率が100%以下であれば、他人資本のすべてを自己資本で担保しているということになります。
そのため、負債比率は100%以下が理想といえますが、建設業においては他人資本に頼らざるを得ない状況が多いことから、すべての負債を自己資本により担保ことは難しい傾向にあります。
東日本建設業保証のデータによると、平成26年度における東日本の建設業全体の負債比率は141.94%となっております。
固定負債比率は、下記の算式により計算します。
固定負債比率=固定負債÷自己資本×100
固定負債比率とは、固定比率のうち流動負債の影響を除外することにより、長期的な債務負担を自己資本によってどれだけ担保しているかをあらわした指標になります。
固定負債は、主として設備投資のために調達されたものであるため、固定負債の返済は固定資産からまかなわれるべきだという考え方があります。
そのため、固定負債比率が高い場合は、企業の資本構造の見直す必要があります。
東日本建設業保証のデータによると、平成26年度における東日本の建設業全体の固定負債比率は33.00%となっております。
営業キャッシュ・フロー対負債比率は、下記の算式により計算します。
営業キャッシュ・フロー対負債比率=営業キャッシュ・フロー÷負債×100
営業キャッシュ・フロー対負債比率は、前回ご紹介した営業キャッシュ・フロー対流動負債と同様の考え方になり、負債に対して営業上どれだけ現金を稼いだかをあらわす指標になります。
外部からの資金調達を除いて、企業内部の営業活動によりどれだけ資金を稼いで負債の返済に回したかを示すことにより、営業活動の債務返済能力を判断することができます。
この比率は、20%以上であれば健全と言われております。
借入金依存度は、下記の算式により計算します。
借入金依存度=(短期借入金+長期借入金)÷総資本×100
借入金依存度とは、企業活動に必要な資金のうち借入金によって調達した資金がどれだけあるかをあらわす指標になります。
一般的には、借入金依存度が低いほど健全性は高いと判断されます。
建設業情報管理センターのデータによると、平成26年度における建設業全体の借入金依存度は45.12%となっております。
借入金自己資本依存度は、下記の算式により計算します。
借入金自己資本依存度=(短期借入金+長期借入金+自己資本)÷総資本×100
借入金自己資本依存度とは、上記の借入金依存度に自己資本への依存度を加えた指標になります。
一般的には、資金調達の大半は借入金と自己資本によりまかなわれるため、100%に近い割合になることが多いですが、建設業においては、未成工事受入金などの流動負債の割合が高くなる傾向にあることから、だいたい50%前後くらいになります。
有利子負債月商倍率は、下記の算式により計算します。
有利子負債月商倍率=(短期借入金+長期借入金+社債)÷(完成工事高÷12)
有利子負債月商倍率とは、有利子負債が月商の何か月分あるかを示すことにより、有利子負債の滞留月数をあらわす指標になります。
そのため、この倍率は小さい方が健全性が高いことになります。
投資構造分析とは、固定資産と長期的な調達資本とのバランスを分析するもので、固定比率、固定長期適合比率により分析します。
固定比率は、下記の算式により計算します。
固定比率=固定資産÷自己資本×100
固定比率とは、固定資産への投資を自己資本の範囲内で実施しているかをあらわす指標になり、100%を超えると固定資産の投資を他人資本にも頼っていることになります。
固定資産は長期的に活用される資産であるため、それを購入する資金も返済不要な自己資本によってまかなうべきという考え方があります。
しかし、今日の経済において設備投資のために融資を受けることは当たり前のこととして行われているため、業種にもよりますが、ほとんどの産業において固定比率が100%を超えるのが実態となっております。
東日本建設業保証のデータによると、平成26年度における東日本の建設業全体の固定比率は141.94%となっております。
固定長期適合比率は、下記の算式により計算します。
固定長期適合比率=固定資産÷(固定負債+自己資本)×100
固定長期適合比率とは、固定資産への投資を自己資本と固定負債の範囲内で実施しているかをあらわす指標になり、上述の固定比率よりも投資財源をゆるやかにしたものになります。
固定長期適合比率が100%を超えてしまうと、固定資産の投資を流動資産にも頼っていることになりますので、資本構造としては明らかに問題があります。
固定資産の投資回収速度が固定負債の返済速度より上回れば、固定長期適合比率は低下していき、余剰資金が発生することになります。
一方、固定長期適合比率が100%を大きく下回っている場合には、固定負債や自己資本の余剰資金を流動資産に流用していることが考えられるので、その原因を解明する必要があります。
なお、固定長期適合比率は流動比率と表裏一体の関係にあるため、流動比率が高くなれば固定長期適合比率が低くなります。
そのため、流動比率を上げるための改善を行えば、自然と固定長期適合比率は下がることになります。
建設業情報管理センターのデータによると、平成26年度における建設業全体の固定長期適合比率は35.40%となっております。
利益分配性向分析とは、利益分配の程度を分析するもので、配当性向、配当率により分析します。
配当性向は、下記の算式により計算します。
配当性向=剰余金の配当額÷当期純利益×100
配当性向とは、当期純利益に対して株主配当がどの程度行われたかをあらわす指標になります。
同族経営でない株式会社にとっては、株主に適正な配当を行うことは資金調達の観点からは有効ですが、一方で配当を行うことは企業内部の資金を流出させることになりますので、配当性向が高い方がよい、低い方がよいとは一概には判断できません。
配当率は、下記の算式により計算します。
配当率=剰余金の配当額÷資本金×100
配当率とは、資本金に対して株主配当がどの程度行われたかをあらわす指標になります。
株主にとっては、自分が出資した額に対してどのくらいの還元があったかは興味があるところなので、この指標は株主にとって有用な情報となります。
以上、ここまで3回にわたって安全性分析の手法についてご紹介いたしました。
企業活動を継続していく上では、収益性の分析のみならず、短期的な支払能力や長期的な企業体力をはかる上での安全性の分析が欠かせません。
会社の現状把握や今後の成長のために、安全性分析を役立ててみてはいかがでしょうか。
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