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建設業が活用したいキャリアアップ助成金
近年は、若者の労働者人口が減少している背景から、パート・アルバイトを正社員に登用する動きが広がってきています。
キャリアアップ助成金制度においては、パート・アルバイトなどを正社員などに転換した企業に対して助成金を支給する正社員化コースというものが設けられています。
ここでは、具体的にどのような場合に助成金を申請できるかについて確認してまいります。
キャリアアップ助成金の正社員化コースとは、有期契約労働者等を正規雇用労働者などに転換または直接雇用した場合に助成が受けられる制度です。
助成を受けられる具体的な転換内容と助成額は下表のとおりです。
№ | 転換内容 | 助成額 | |
---|---|---|---|
中小企業の場合 | 大企業の場合 | ||
① | 有期契約労働者→正規雇用労働者 | 1人当たり60万円 | 1人当たり45万円 |
② | 有期契約労働者→無期雇用労働者 | 1人当たり30万円 | 1人当たり22.5万円 |
③ | 無期雇用労働者→正規雇用労働者 | 1人当たり30万円 | 1人当たり22.5万円 |
④ | 有期契約労働者→多様な正社員 | 1人当たり40万円 | 1人当たり30万円 |
⑤ | 無期雇用労働者→多様な正社員 | 1人当たり10万円 | 1人当たり7.5万円 |
⑥ | 多様な正社員→正規雇用労働者 | 1人当たり20万円 | 1人当たり15万円 |
※①~⑥合わせて1年度1事業所当たり15人までです。
中小企業の範囲
小売業(飲食店含む)の場合
資本金5,000万円以下、または、常時雇用する労働者数50人以下
サービス業の場合
資本金5,000万円以下、または、常時雇用する労働者数100人以下
卸売業の場合
資本金1億円以下、または、常時雇用する労働者数100人以下
その他の業種の場合
資本金3億円以下、または、常時雇用する労働者数300人以下
※なお、建設業はその他の業種に当てはまります。
上表の助成額のほか、下表に該当する場合には助成額が加算されます。
助成額が加算される場合 | № | 加算額 | |
---|---|---|---|
中小企業の場合 | 大企業の場合 | ||
派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者または多様な正社員として直接雇用した場合 | ①、③ | 1人当たり 30万円 | |
母子家庭の母等を転換等した場合(※1) | ① | 1人当たり 10万円 | |
②~⑥ | 1人当たり 5万円 | ||
若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合(※2) | ① | 1人当たり 10万円 | |
②~⑥ | 1人当たり 5万円 | ||
勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定した場合 | ④、⑤ | 1事業所当たり 10万円 | 1事業所当たり 7.5万円 |
※1 転換等した日において母子家庭の母等である必要があります。
※2 転換等した日において35歳未満である必要があります。
期間の定めのない労働契約を締結する労働者
期間の定めのある労働契約を締結する労働者(短時間労働者および派遣労働者を含む)
期間の定めのある労働契約を締結する労働者(短時間労働者および派遣労働者を含む)
有期契約労働者および無期雇用労働者
勤務地限定正社員、職務限定正社員および短時間正社員
期間の定めのない労働契約を締結しており、複数の事業所のうち特定の事業所のみに勤務地を限定している(他事業所への異動を行わない)労働者
期間の定めのない労働契約を締結しており、職務が正規雇用労働者に比べて限定されている労働者
期間の定めのない労働契約を締結しており、所定労働時間が正規雇用労働者に比べて短く、下記のいずれかに該当する労働者
下記のいずれかに該当する労働者
キャリアアップ助成金の正社員化コースの対象となる労働者は、下記の①~⑦をすべて満たす労働者になります。
①次の1.~5.のいずれかに該当すること
②次の1.~2.のいずれかに該当すること
③次の1.~3.のいずれにも該当しないこと
④転換または直接雇用を行った事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること
⑤転換日または直接雇用日の前日から1年6か月~6か月の間において、当該会社の関係会社に以下1.~3.のいずれかにより雇用されていないこと
⑥短時間労働者に転換または直接雇用された場合、原則として転換または直接雇用後に所定労働時間または所定労働日数を超えた勤務をしていないこと
⑦支給申請日において、転換または直接雇用後の雇用区分の状態が継続し、離職していないこと
ただし、本人都合による離職や本人の責めによる解雇等を除きます。
キャリアアップ助成金の正社員化コースの助成を受けるためには、それぞれ下記の要件を満たす必要があります。
キャリアアップ助成金の正社員化コースを申請する場合には、支給申請書(様式第7号)、支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)、支払方法・受取人住所届(未登録の場合のみ)を提出するほか、下記の書類を添付する必要があります。
なお、派遣労働者を正規雇用労働者、無期雇用労働者または多様な正社員として直接雇用した場合には、下記の書類についても添付する必要があります。
また、助成額の加算の適用を受ける場合には、下記の書類も必要になります。
【母子家庭の母等の転換または直接雇用に係る助成額加算の適用を受ける場合】
【対象労働者に母子家庭の母等が含まれる場合】
正社員化コースの助成金の受給を受けるまでの流れは、下記のとおりになります。
1.キャリアアップ計画書を作成・提出する[提出期限:転換日または直接雇用日]
2.就業規則、労働協約またはこれに準ずるものに転換制度を規定する
3.転換または直接雇用に際し、就業規則等の転換制度に規定した試験等を実施する
4.正規雇用等への転換または直接雇用を実施する
5.転換後6か月の賃金を支給し、支給申請書を提出する
[提出期限:6か月分の賃金を支給した日の翌日から2か月以内]
6.支給決定
昨今は人材確保に苦労する企業が多いですから、正社員登用制度を設けることは、社員に長く勤めてもらうことにつながり、企業の成長にとって重要な役割を果たすことになるでしょう。
そして、正社員登用制度の導入を検討している企業にとっては、キャリアアップ助成金の正社員コースはぜひ申請を検討したい制度です。
申請には少なくとも6か月はかかる長丁場になりますが、就業規則などの作成を通して社内制度が整備されることにもつながりますので、申請を検討されてみてはいかがでしょうか。
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